不動産の登記記録に記載されている土地には、さまざまな分類が設けられています。
その代表的なのが「地目(ちもく)」です。
「地目」は一言でいうと土地の種類や用途を表す分類で、不動産登記法により登記官が土地の現況、および利用目的で判断し登記します。
ただし、登記記録に記載されている「地目」は、登記官が判断し登記した時点のものなので、現在の状況と異なる場合があることです。
そこで今日は、「土地の「地目の種類」と「地目変更登記」の注意点」について書いてみたいと思います。
土地の地目は、なんと23種類もあります。
地目の種類によっては、普段の生活であまり関わりないものもありますが、その中で不動産登記事務取扱手続準則で定められている課税の基準として用いられる地目は、
1.田、2.畑、3.宅地、7.鉱泉地、8.池沼、9.山林、10.牧場、11.原野、23.雑種地の9つになります。
1.田/農耕地で用水を利用して耕作する土地
2.畑/農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
3.宅地/建物の敷地及びその維持、もしくは効用を果すために必要な土地
4.学校用地/校舎、附属施設の敷地及び運動場
5.鉄道用地/鉄道の駅舎、附属施設及び路線の敷地
6.塩田/海水を引き入れて塩を採取する土地
7.鉱泉地(こうせんち)/鉱泉(温泉を含む)の湧出口及びその維持に必要な土地
8.池沼/かんがい用水でない水の貯留池
9.山林/耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
10.牧場/家畜を放牧する土地
11.原野/耕作の方法によらないで雑草、かん木類の生育する土地
12.墓地/人の遺体または遺骨を埋葬する土地
13.境内地/境内に属する土地であって、宗教法人法(昭和26年法律第126号)第3条第2号及び第3号に掲げる土地(宗教法人の所有に属しないものを含む)
14.運河用地/運河法(大正2年法律第16号)第12条第1項第1号または第2号に掲げる土地
15.水道用地/専ら給水の目的で敷設する水道の水源地、貯水池、ろ水場または水道線路に要する土地
16.用悪水路/かんがい用または悪水はいせつ用の水路
17.ため池/耕地かんがい用の用水貯留池
18.堤(つつみ)/防水のために築造した堤防
19.井溝(せいこう)/田畝(でんぼ)または村落の間にある通水路
20.保安林/森林法(昭和26年法律第249号)に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地
21.公衆用道路/一般交通の用に供する道路(道路法(昭和27年法律第180号)による道路であるかどうかを問わない)
22.公園/公衆の遊楽のために供する土地
23.雑種地/以上のいずれにも該当しない土地
(不動産登記事務取扱手続準則第68条より引用)
地目の決定は、土地の現況や利用目的に重点を置き,部分的にわずかな差異があったとしても、土地全体としての状況を観察して定められています。
地目の調べ方
地目の調べ方は、所有している土地について調べるのか、所有していない土地について調べるのかで方法が異なります。
<所有している土地の地目の調べ方>
所有している土地の地目は、手元にある書類で調べることができます。
土地には固定資産税が課せら、毎年送られてくる納税通知書と一緒に同封されている課税明細書や評価明細書に「地目」が記載されていますので確認ができます。
また、土地の登記済権利証や登記簿(全部事項証明書)があれば、そこにも記載されています。
<所有していない土地の地目の調べ方>
所有していない土地の地目は、法務局の登記記録を調べればわかります。
法務局の窓口に出向く以外に、オンラインの登記情報提供サービスを利用することができれば便利です。
ただし、登記情報を取得する場合は、一般的な住所ではなく地番で申請する必要があることを覚えておいてください。
もし地番が分からなければ法務局に問い合わせれば教えてもらえます。
建物を建てられる地目
23種類の地目のうち建物を建てられる地目は、宅地のほかに、山林、原野、雑種地でも住宅は建てられます。
登記上の地目がこれら以外であっても、建物が建っていることで宅地と判断される場合もありますので建築士に確認してください。
田、畑などの農地は農地法により、公衆用道路は道路法によりその使用が制限されていますが、山林、原野、雑種地などは建築基準法上の制限はないのでそのままで家を建てることができます。
ただし家を建てた場合は、地目が原野や山林でも固定資産評価額は宅地並みに評価され、固定資産税も宅地並みの税金が課税されます。
不動産登記法では、新たに建物を建築したり増築や取壊した場合に、所有者対して1ヵ月以内に表題変更登記を義務付けています。
同様に、地目や地積について変更が生じた場合、変更のあった日から1ヵ月以内に所有者は、その変更の登記をしなければならないと規定しています。
これは、不動産の現況が第三者に対して正確に公示されることが、不動産の取引が安全で円滑に行われることに必要不可欠だからです。
もし、変更登記の申請義務がある所有者が、義務を怠った場合は10万円以下の過料に処せられるので、覚えておいてください。
住宅ローンを組む場合、金融機関は土地に抵当権を設定します。
ただし、地目が宅地以外の場合、ほとんどの金融機関は抵当権の設定を拒否します。
つまり住宅ローンが組めないことがあるのです。
特に、地目が「田」「畑」などの農地の場合は住宅ローンは組めません。
それ以外の地目でも金融機関によっては地目変更を求められることがありますので、地目が宅地以外の土地に家を建てる場合は、地目を変更をした後に住宅ローンを組むことをお勧めします。
まとめポイント!
ポイント1
土地の地目には種類があり、自分で調べることが可能!