■転職のタイミングが与える影響
1. 住宅ローンを組む直前に転職する
住宅ローンは勤続年数が短すぎると審査に通らない可能性が高くなります。
それは審査を行う際に、金融機関が勤続年数をチェックするからです。
ほとんどの金融機関では勤続年数2~3年以上を基準にしていると言われています。
勤続年数の確認は入社日が記入されている健康保険証で行う場合が多く、少しでも審査に有利になろうと勤続年数をごまかしても金融機関には通用しないため、正確な情報を伝えるようにしましょう。
転職直後で勤務日数が少なく収入が安定していない状況では、審査に通らない可能性は高くなってしまいます。
これらの理由から住宅ローンを組む直前に転職をすることは控えた方がいいでしょう。
2. 住宅ローン審査中に転職をする
住宅ローン審査中に転職をすると再審査になる可能性があります。
この場合も勤続年数の関係で1のように審査に通り辛くなります。
そのため、審査中の転職も控えた方がいいでしょう。
なお、金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、住宅ローンの返済を行っている段階での転職は、審査が終了しているため、転職をしても問題ありません。
このように、基本的に住宅ローンを組む前の転職は控えたほうがいいでしょう。なぜなら、勤続年数が短くなることで、安定して返済できるという信用を失ってしまうからです。そのため、住宅ローンの審査が通らず、住宅購入が難しくなります。
■余儀なく転職する場合はどうすればいい?
住宅ローンを組む前に余儀なく転職される場合も考えられます。
この場合は割り切って、住宅購入を延期するというのも一つの方法です。
そして、この期間に住宅ローンの頭金を貯めるようにしましょう。
頭金を多く用意することができれば、その分、住宅ローンの返済負担が抑えられ、家計に余裕を生むことができます。
このように、必ずしも転職によって住宅ローンを組めなくなることがマイナスになるわけではありません。
逆にしっかりと準備をする時間を設けられたと、プラスに考えることもできます。
そして、住宅ローン審査において必要とされる勤続年数の目安となる2~3年が経過したら、住宅ローン審査を申し込みましょう。
なお、頭金が多いと審査は通りやすくなる傾向にあります。
また、金融機関によっては転職から1年経過すれば、審査に通る場合もあります。
したがって、複数の金融機関で相談してみてもいいでしょう。
■転職したばかりだけど住宅ローンを組める場合もある?
住宅ローン審査はあくまでも「安定して返済ができるか」という部分に観点を置いているため、転職の内容によっては転職直後でも住宅ローン審査に通る場合があります。
例えば、転職前と同じ業種でキャリアアップする場合や転職先が大手企業の場合などは、転職後の早い段階でも問題なく住宅ローンを組めることがあります。
ただし、その判断基準は金融機関によって異なりますので、ご心配な方は転職前に金融機関に相談されることをおすすめします。
また、住宅金融支援機構が行っているフラット35の場合、収入条件はありますが、勤続年数は何年以上という条件はありません。
そのため、転職後の早い段階でも住宅ローン審査に通りやすくなる場合があります。
住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して取り扱っているフラット35は、収入面で安定が見込めて滞りなく返済する経済力があると認識されることができれば、勤続年数が1年未満でも融資を受けることができます。
しかし、前年度の収入証明書を提出する申請時に、収入条件を満たしていないと審査に通らない可能性があります。
このような場合、転職後の収入を考慮してもらえると審査に通る場合がありますので、転職先に就職後の収入を証明する書類を発行してもらえるよう相談しましょう。この書類を用意することで、転職後の収入も考慮されます。
大切なご家族を支える仕事や住宅購入で後悔しない選択をするために、転職が住宅ローン審査に与える影響をしっかりと理解して検討しましょう。